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カナダ政府、石油・ガス分野に温室効果ガスの上限規制案を導入 - ESG Journal

カナダ政府、石油・ガス分野に温室効果ガスの上限規制案を導入

11月4日、カナダ政府は、国内最大の温室効果ガス排出源である石油・ガス分野において、温室効果ガスの削減を加速するための新たな排出規制案を発表した。この規制案は、2019年比で35%の排出削減を目標とし、石油・ガス分野に明確な上限を設定して業界全体の排出量を減らすことを目的としている。これにより、業界内でクリーンな生産に向けた投資が促進され、環境に配慮した持続可能な雇用が生まれることが期待される。

気候変動による異常気象が増加するなか、カナダ国民や地域社会は、食料品の価格や保険料、地方税の上昇といった影響を受けている。政府は、この問題に対応するため、すべての産業に公平な排出削減の責任を求めており、特に大きな排出源である石油・ガス分野の企業にも、地球温暖化への取り組みを強化するよう促している。同分野は、カナダ経済を支える重要な産業であり、40万人以上の雇用を創出しているが、近年の収益増をクリーン技術への再投資に活用することで、持続可能な未来を支える役割を果たすことが期待されている。

今回の規制案は、排出量にのみ上限を設け、産業の成長を妨げないよう生産量に対しては制限をかけない設計となっている。また、優れたパフォーマンスを上げている企業を評価し、排出量の多い企業にはクリーン技術への投資を促す「キャップ・アンド・トレード方式」を採用している。こうした制度設計には、産業界や先住民団体、州・準州の政府関係者との幅広い協議が反映されている。さらに、この排出上限は、技術的に達成可能な範囲内に定められており、排出削減と生産の成長を同時に進められるよう考慮されている。

カナダは世界第4位の石油生産国であり、第5位の天然ガス生産国である。今後10年で石油・ガスの需要はピークに達し、その後は減少すると予測されるが、特に排出量の少ない燃料には引き続き高い需要が見込まれる。この排出上限の導入は、カナダの石油・ガス分野が世界経済の脱炭素化に対応し、競争力を維持するための重要な施策となる。

この規制案は、カーボンキャプチャー・ストレージ(CCS)や他のクリーン技術への支援策と併せて実施され、政府のカナダ・グロースファンドや新たな投資税額控除を通じて、労働者を支援し、カナダ経済の成長を後押しするものである。カナダは今、気候危機に立ち向かい、21世紀にふさわしい強力な経済基盤を築くという歴史的なチャンスに直面している。将来的に環境を守りながら、世界のエネルギー供給国としての地位を確保するためにも、今行動することが重要である。

政府は引き続き関係者との協議を進め、2025年に最終的な規制案を発表する予定である。

【参照ページ】
(原文)Canada releases draft regulations to cap pollution, drive innovation, and create jobs in the oil and gas industry
(日本語参考訳)カナダ、石油・ガス産業における汚染防止、技術革新、雇用創出のための規制案を発表

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