
ドイツ銀行は2025年上半期の好決算を発表すると同時に、サステナビリティ分野での取り組みが大きく加速していることを明らかにした。2020年以降に実行したサステナブルファイナンスおよびESG関連投資の累計額は、2025年6月末時点で4,170億ユーロ(約71兆円)に達した。特に第2四半期(4~6月)だけで280億ユーロを実行し、四半期ベースで2021年以降の最高額を記録した。
同行は、単に資金量を増やすだけでなく、地球規模の課題解決に直結する大型プロジェクトを積極的に支援している。
第2四半期の代表的な案件としては、オーストラリアで初となる「再生可能エネルギーゾーン(RE_Z)」の送電網インフラ整備へのプロジェクトファイナンスが挙げられる。この事業は最大4.5ギガワットの新たな再エネ供給能力を生み出し、200万世帯以上への電力供給に貢献する見込みで、同行は主幹事やレンダーとして中心的な役割を担った。
また、ドイツ国内では再生可能エネルギー企業「NeXtWind」に対し、既存の陸上風力発電所の設備更新(リパワリング)を目的とした14億ユーロの融資を主導。欧州では、スロベニア共和国が初発行した10億ユーロの「サステナビリティ・リンク・ボンド」の共同主幹事を務めた。この債券は、同国の温室効果ガス排出量削減目標の達成度に応じて利率が変動する仕組みで、国家レベルの脱炭素への移行を金融面から後押しする。
金融商品を通じた貢献に加え、ドイツ銀行は企業としてのコミットメントも強化している。当四半期には、人権に関する声明や、サプライチェーンにおける人権・環境への配慮を定めた方針を更新・公表した。さらに、ボンで開催された国連気候変動会議では、熱帯雨林を有する国々の代表者と炭素クレジット開発に関するワークショップを開催するなど、国際的な議論にも積極的に関与している。
好調な業績を背景に、経営戦略「グローバル・ハウスバンク」の柱の一つであるサステナビリティ分野への注力を今後も継続し、グローバルな資金の流れを環境・社会課題の解決に向けていく姿勢を鮮明にしている。
(原文)Deutsche Bank more than doubles first half 2025 profit before tax to € 5.3 billion
(日本語参考訳)ドイツ銀行、2025年上半期の税引前利益を2倍以上の53億ユーロに増加