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EBA、EU域内銀行の気候リスク指数を初公開 - ESG Journal

EBA、EU域内銀行の気候リスク指数を初公開

4月25日、欧州銀行監督機構(EBA)は25日、EUおよびEEA(欧州経済領域)域内の銀行セクターにおける気候リスクの最新指標を集約したESGダッシュボードを初めて公開した。新たなダッシュボードは、ESG(環境・社会・ガバナンス)リスクの体系的なモニタリング体制を構築し、各銀行の気候リスク指標への集中・一元的アクセスを可能にするものだ。

このダッシュボードは、銀行がバーゼル規制「第3の柱(Pillar 3)」に基づき開示するESG情報をもとに作成されている。移行(トランジション)リスクと物理的リスクの両観点から気候変動リスクへの銀行のエクスポージャーを可視化し、ベンチマークやリスク評価の高度化につなげるのが狙いである。グリーンファイナンスの状況は、EUタクソノミーへの適合状況だけでなく、各金融機関が独自に定義するグリーンファイナンス対象も幅広くカバーしている。

データによると、EU・EEA各国の銀行は、クライメートチェンジへの寄与度が高い産業セクターの法人顧客へのエクスポージャーが大半を占めており、その割合は多くの国で70%超に及ぶ。これにより、銀行セクター全体が移行リスク、すなわち今後の環境政策や技術革新、消費者嗜好の変化等によって影響を受ける可能性が大きいことが示された。ただし、このリスクは企業ごとに異なり、個別の移行対策が統計に反映されていないことに注意が必要だとしている。

一方、物理的リスク(気候変動による洪水や災害など)の点からは、エクスポージャーの平均は30%以下にとどまった。ただし、銀行ごとにデータの開示精度や評価手法が異なることから、この指標はあくまで金融機関自身の評価に基づくものであり、慎重な解釈が求められる。

不動産担保付き融資の指標も公表されており、エネルギー効率基準で上位2区分(1平方メートルあたり200kWh未満)の物件割合が約半数だった。これにより、不動産担保を巡る移行リスクは限定的と見られるが、銀行側は多くの場合エネルギーデータに推計値や代理指標を用いているため、過信は禁物だ。

さらに、EUタクソノミー適合度を測る「グリーンアセット比率(GAR)」も低水準(平均3%未満)にとどまっているが、これは現行の指標構造や経済全体の移行段階を反映した結果とされる。今後はGARの算定方法や対象先の拡大に応じて指標のアップデートが予定されている。

EBAによるESGリスク監視フレームワークの開発は、EU委員会が掲げる「金融システム全体での気候リスク監視」方針に沿って進められてきた。各種指標はEBA設立規則第29(f)条に基づき、パリ協定も考慮したリスク評価体制の一環として位置づけられる。現行データの参照日は2023年12月31日および2024年6月30日となっており、今後も定期的な更新と内容進化が図られる。

特にEUタクソノミー関連指標などは現行規則の改定にあわせて調整が加えられる見通し。EBAは「ESGリスク監視ツールの進化を通じ、気候関連金融リスクへの対応力を高めていく」としている。

(原文)The EBA publishes key indicators on climate risk in the EU/EEA banking sector 
(日本語参考訳)EBA、EU/EEAの銀行セクターにおける気候リスクに関する主要指標を公表

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