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イーロン氏拠出のXPRIZEカーボンリムーバル開催で総額1億ドルの賞金 - ESG Journal

イーロン氏拠出のXPRIZEカーボンリムーバル開催で総額1億ドルの賞金

4月、気候変動対策のイノベーションを促進する世界最大級のコンペティション「XPRIZEカーボンリムーバル」が、2021年のアースデイに開幕し、2025年のアースウィークに最終結果が発表された。総額1億ドル(約150億円)という史上最大規模の賞金は、米テスラやスペースXの最高経営責任者(CEO)であるイーロン・マスク氏とその財団「Musk Foundation」が全額を拠出した。

このコンペティションには、世界88カ国から1,300を超えるチームが参加し、空気、岩石、海洋、陸地の4分野で革新的な二酸化炭素除去(CDR)技術の開発を競った。最終審査では、グランプリ受賞チームと上位入賞チームが、それぞれ1,000トン以上のCO₂を正味で除去することに成功し、XPRIZEが掲げる厳格な実証要件を満たした。

グランプリ(賞金5,000万ドル)には、インドの「マティ・カーボン(Mati Carbon)」が選ばれた。同社は、細かく砕いた玄武岩を農地に散布し、自然の風化プロセスを加速させることで大気中のCO₂を恒久的に除去する手法を実証した。さらに、この技術はインドの小規模農家の土壌改良や収入増加にも寄与しているという。

準グランプリには、フランスの「ネットゼロ(NetZero)」(1,500万ドル)、米国の「ヴォールテッド・ディープ(Vaulted Deep)」(800万ドル)、スコットランドとカナダで活動する「アンドゥ・カーボン(UNDO Carbon)」(500万ドル)が選ばれた。ネットゼロはブラジルでバイオ炭を生産し、農家に還元する循環型モデルを展開。ヴォールテッド・ディープは有機廃棄物を地下深くに永久貯蔵する技術を開発。アンドゥ・カーボンは岩石風化を加速させてCO₂を除去し、土壌改良にもつなげる手法を実証した。

また、XFACTOR賞として、カナダの「プラネタリー(Planetary)」(海洋部門)とアラブ首長国連邦の「プロジェクト・ハジャール(Project Hajar)」(空気部門)がそれぞれ100万ドルを受賞した。プラネタリーは海洋アルカリ度を高めることで海のCO₂吸収能力を強化し、プロジェクト・ハジャールは大気中のCO₂を直接回収し、地下のかんらん岩に鉱物化する技術を実証した。

このほか、学生チームには500万ドル、初期実証に成功したチームには1,500万ドルのマイルストーン賞が授与された。「XPRIZEカーボンリムーバル」は、4年間で高品質かつ耐久性のあるカーボンリムーバル技術の新たな世代を生み出し、39億ドル規模のカーボンクレジット市場の基盤を築いた。

イーロン・マスク氏は、個人として、また「Musk Foundation」を通じてこのプロジェクトを強力に後押しした。今回のコンペティションで生まれた多様な技術ポートフォリオは、今後世界各地での大規模展開が期待されている。気候変動対策の新たな時代を切り拓く一歩として、世界の注目を集めている。

(原文)Mati Grand Prize Winner
(日本語参考訳)マティ大賞受賞者

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