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自然エネルギー財団、新エネルギー基本計画に向けて新シナリオを発表 - ESG Journal

自然エネルギー財団、新エネルギー基本計画に向けて新シナリオを発表

 6月19日、自然エネルギー財団は「脱炭素へのエネルギー転換シナリオ:2035年自然エネルギー電力80%を軸に」を公表した。経済産業省資源エネルギー庁にて現在新しいエネルギー基本計画の検討が行われている中、財団は新たなシナリオとして、日本国内に鉄鋼などの製造業を維持し、また、データセンターや半導体工場などの新しい産業を誘致しながら、IPCCが求める1.5℃シナリオ、すなわち2019年比2035年までにCO2排出を65%以上削減するための方策を示した。

今回の分析によると、電力に関して、大幅な蓄電池と送電設備の増強を行い、自然エネルギーを80%、そのうち変動型自然エネルギーを50%にすることで、24時間体制で安定供給が可能であることがシミュレーションによって明らかになったという。

また、2035年までに自然エネルギー比率を80%に向上させることで、鉄鋼生産を含む国内製造業の脱炭素化が可能となり、自然エネルギー電力を使用することを条件とするデータセンターや半導体工場などの新産業の立地も促進できるとした。これにより、産業の空洞化を防ぎながら脱炭素化を実現することが可能であり、洋上風力や送電線などのインフラ需要の増加も見込まれるという。

送電設備に関して、同分析によると、2035年時点で必要な自然エネルギー関連設備容量は、現在の3.3倍となるという。また蓄電池については、EVの15%を活用(12GW / 36GWh)し、系統側を含むその他の蓄電池(60GW / 148GWh)を導入することで、合計72GW/184GWhの蓄電容量を見込んでいる。夏は太陽光の余剰を蓄電池に蓄え、夕方以降に活用。一方で冬は風力の比率が高く、蓄電池も夏ほどではないものの活用されるとした。

また、発電コストに関しては、蓄電池費用・系統増強費用を含めても、ウクライナ危機前の水準に収まると推計された。電力システム全体の「統合コスト」は、自然エネルギーがミックスとして補完し合う効果や、調整力も蓄電池や風力・太陽光で賄えることを反映し、高くならないことが示唆されている。また、自然エネルギーの比率が大きいため、化石燃料価格が高騰した場合の影響も小さく抑えられる。

同団体によると、自然エネルギー電力比率を2022年度の22%から13年間で80%に引き上げるには、新しいエネルギー基本計画で方向性を明確に示し、国として自然エネルギーの活用戦略を策定する必要があるとした。これにより、企業や投資家が安心して日本での操業計画を立てることができる。

また、自然エネルギー関連設備の導入加速についての規制改革の必要性についても指摘している。例えば、系統接続の改善・出力抑制の改善・規制と手続きの一本化・合理化・アセスメント関連情報のデジタル化・農地転用期間の延長などの規制改革が必要だとした。また、系統アクセス・利用の公平性・透明性を担保するために、送配電事業の独立性を高める厳格な分離ルールと厳しい監視が重要だと指摘した。一方で、大幅な構造変化において、公正な移行、特に石炭火力に対する管理的フェーズアウトの仕組みを整備することも重要であるとした。

また、十分な経済的インセンティブを得られるカーボンプライス水準が見込まれることも重要であると示された。カーボンプライスが十分見込めることで、脱炭素投資は儲かる投資となり、企業による投資も拡大するとされるためである。

同分析は、原子力や火力がなくても、太陽光・風力・蓄電池によって80%自然エネルギーの達成が可能であることを示している。ITを利用することにより、以前より自然エネルギーが、安いものとなり、十分頼れる電源となるため、新しい時代の電力システムに早く移行するべきだと示している。

【参照ページ】
(原文)脱炭素へのエネルギー転換シナリオ 2035年自然エネルギー電力80%を軸に

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